ダプールパーネ台所ノート

パンを焼きスパイスを振る台所 旅して暮らした各地での美味しい記憶を我が家の日常の食卓へ

皮付き脂身たっぷりの焼き豚肉に苦瓜と玉ねぎの和え物添え

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北米に暮らしている私の1週間ほど前の出来事。頻繁に通っているイタリア食材店に買い物に行った際のことだ。ここへ来る時はいつも急いでいる。僅かな空き時間で用事を済ませてしまおうと思い立った時に向かうからだろう。

その近くにあって寄って覗いてみたいとだいぶ以前から思っていたフィリピン惣菜店に、余分な時間があってやっと行くことができた。

店に入ると、そこは何度か旅行で訪れた観光客が少ないフィリピンの島の小さな町にあるようなのんびりゆったりもったりぼっさりな店の雰囲気が全開。これについては、期待通りとは言わず、予想通りとしておきたい。そうなると味のほうは期待できる。

ガラスケース越しに並べてある作り置きの惣菜を覗いていると、携帯電話で話し中の男性が私の横に立って、「僕のほうが先だから。」というような意味合いの動作をする。「そうなの、まだ注文が済んでなかったのね、わかりました。」と了解した笑顔を私は返す。

その間、ガラスケースの向こうに立っている店員らしき女性は無言である。私たちに接客はしない。注文を取る係りではないのだろう。包丁を握ってまな板の前に立っている男性店員も無言だ。店内に席はなく、私は先客らしい男性が電話を終えるのを暫し突っ立って待っている。

誰もが何も始めない。ほんの少しも歩きもしない。当てもなくちらっと目線を動かすだけだ。時間も空気の流れも止まっているかのようだ。

その後、電話を終えた男性客は2つ3つ惣菜を注文した。途端に店内の空気が撹拌される。炊き立ての独特な匂いの強いフィリピン米とともにそれら惣菜を好きなように好きな量で詰めて弁当形式にしてもらっている。

それが進められている最中には客と男性店員の間で、「ちょっとトイレ貸してくれる?」-「客用のはないけど、調理場奥のを使ってもいいよ。」などという会話がタガログ語でなされた。女性店員は私のすぐ前まで距離を縮めて来はしたが、声掛けはされない。すぐに店の奥へ引っ込んだ。注文を取ろうとしたのではないのはわかっている。たぶん何か他の目的があってか、何もないけれどなんとなくなんだろう。

いいぞ、こんなふうなのんびりゆったりもったりぼっさり訳わからなさが現地で過ごした日々の記憶を蘇らせるではないか。これはますます味への期待が膨らむってもんだ。

トイレを借りて戻ってきた男性客は、皮付き脂身たっぷりのかたまり焼き豚肉も買いたくなったらしい。「10×20cmくらいに切ってから適当に刻んでくれる?」などと手で大きさを示している。なぁ~んだ、まだ私の順番は来ないらしい。

ところでこの店の惣菜には商品名がなく、価格設定も明瞭ではない。「はいっ、これでいくらだよ。」と、すっかり詰めて手渡される段で値段を告げられるようだ。恐ろしさを包する事後報告である。しかし問題は起きていないと見える。これでは客はフィリピン系に限られるだろうけど。

やっと私の順番になり、皮付き脂身たっぷりの焼き豚をこれこれこれくらいと先の男性客に倣って同じように手で示して、容器に詰めてもらった。値段を告げられた私の最初の反応は、えぇっ!?である。先の男性客が買ったよりも少し大きめだったとは言え、値段が2倍ってどういうことよ。

「これ、合ってるの?」-「合ってるよ。」-「そうか、初回の客にはこの値段にするわけ?、それとも口から出まかせ?」-(男性店員はにやりとして頷く)-「この次は初回ではないよ、これよりだいぶ安くなるよね。」-(男性店員はニヤリとして大きく頷く)。と、こんな具合だ。これで取引をするのは滅茶苦茶なのだが、ここまで現地っぽさを貫くとは面白い、ということにしておこう。次回は大幅値下げしてくれるところまで現地っぽくしてよね、と。

 

 

白米を炊いて盛り合わせ飯にするとして、そうだ、苦瓜と玉ねぎの和え物を添えようとなる。濃厚な脂っぽさとぱりっぱりんな皮の豚肉には、苦辛い野菜が絶好の相性で。

苦瓜を切り割ったら綿と種を取り除き、薄切りにする。それを薄切りにした玉ねぎと合わせて、ぱらっと塩を振って揉み合わせる。それから、オリーブオイルをほんの少し垂らして、さらに混ぜ合わせる。

 

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それと、さらに青い緑を加味しようとアスパラガスもいいよな。アスパラガスを電子レンジでさっと加熱するか、湯に潜らせたら、その上にチェダーチーズをすり下ろして、オリーブオイルをほんの少し垂らして、オーブンで焼く。

 

白飯、苦瓜と玉ねぎの和え物、アスパラガスにチーズのせ焼き、皮付き脂身たっぷりの焼き豚肉。大満足の盛り合わせ飯。

 

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